• 経営層・管理者インタビュー

挫折から見えた新たなビジョン。夢を共有するパートナーがいる喜び

挫折から見えた新たなビジョン。夢を共有するパートナーがいる喜び

美保野グリーン牧場のお肉が楽しめる飲食店であり同社のブランド肉を店頭販売する直営店としての機能を持つ「焼肉・ホルモン Meat農場」のオーナー高山さん。社長の想いに突き動かされてこのお店を開業するに至った背景と、今後のビジョン等についてお聞きしました。

ハウスメーカーの営業から、飲食店経営へ

私自身の経歴から少しお話していきますね。東京で大学を卒業したあと、新卒で北海道に本社がある大手ハウスメーカーの営業として5~6年勤務しました。飲食業との出会いは28歳の頃。初めのうちは飲食店に興味があったという訳ではなく、当時はいざとなったらまたサラリーマンにも戻れるし、公務員試験を受けるのも一つの道かな、という位の気持ちでいました。ある八戸の飲食店でアルバイトから始めて仕事をしていたら、オーナーから社員にならないかと打診され、社員になったあとは複数店舗の管理を任され、一緒に会社をやろうという提案を受け、経営者となりました。

飲食業を経験してみて気づいたことは、「会社に雇われなくても、サラリーマンにならなくても、お金は稼ぐことができるんだな」ということでした。サラリーマンとして雇われることが当たり前だと捉えていたそれまでの自分にとっては、衝撃的なことでもありました。

例えば同じ30万円という金額を稼ごうとしたとき、会社員として働き給料でもらう30万円と、飲食店でお店を経営しながらお客様から頂く30万円では、金額は変わりませんが飲食店で稼ぐ30万円の方が私にとっては手応えがありました。自分のやり方を工夫することで、稼げる金額が変わる飲食店経営の方が面白いと気づき、それ以降はずっと飲食の世界を歩いてきました。

飲食業の面白さ・やりがい

私が飲食業をしていて面白さを感じるのは、お客様との関わりです。お客さんとの繋がりが報酬であると感じています。
目の前のお客様とやりとりをし、そのお客様をいかに喜ばせられるか、笑顔にできるのか、おいしかったよありがとうと言って帰っていただけるということはこの仕事をする上で何よりも嬉しいことだと思っています。

美保野グリーン牧場との関わりの変化

私と美保野グリーン牧場さんとの関わりが始まったのは約10年前。当時私は八戸市内の居酒屋で仕入れを任されており、仕入れ担当として美保野グリーン牧場さんのお肉を購入していました。当時から気さくな社長でしたので、配達などで毎日顔を合わせて会話しながら、器の大きい方だなという印象を抱いていたことを覚えています。

また、美保野グリーン牧場さんはお肉を卸してくださる時に、こちら(飲食店)側の細かい要望も引き受けて下さるのが他社と違いました。お客さんの声に耳を傾け、細かい要望に応えていただけるので信頼のおける会社だと感じていました。

その後、盛岡での焼肉居酒屋業態の飲食店立ち上げをすることになり、引き続き美保野グリーン牧場さんにお世話になっていました。そのさなかに、新型コロナウイルスが発生、お店は大きなダメージを受けました。

1ヶ月~2ヶ月ほどお店を閉めざるを得ないという状況に追い込まれる中、専務の田端さんに色々相談する中で「クラウドファンディングをやってみよう」という話になりました。「お店を開けられず、お肉が余っているので協力してください!」ということをメッセージしたところ、想定以上の支援を頂くことができました。その頃から、田端専務との関係性が変化し、「取引先ー卸先」のビジネスライクな関係性から、共に商品開発をしたり、販売促進方法を議論したりできるパートナーへと変わっていったように思います。

廃業の報告をきっかけに、芽生えたある想い

その後、約2年前に盛岡のお店は撤退することになりました。新型コロナウイルスの収束の目途が立たず、経営を継続していくことが難しいという判断をせざるを得ませんでした。

撤退を決めた時に、美保野グリーン牧場の佐々木社長に挨拶に行きました。その際に経営が厳しく、お店を閉めざるを得ないということを伝えると、社長からは「俺には夢がある。美保野グリーン牧場の敷地を観光農園にして、地域のお客様にもっと足を運んでもらえるような場所を作りたいんだ」という話をされたのです。

正直、とても驚きました。飲食店が卸先の中心だった美保野グリーン牧場さんにとって、私たちのような飲食店の廃業は売上減少に直結する問題。飲食店が厳しいということは同時に会社もダメージを受けることに繋がるので、内心申し訳ないなという気持ちだったところに、社長からは今後の前向きな夢の話を聞かされて、とても驚きました。この厳しい状況下で「うちもしんどいんだよ・・・」と一緒に愚痴を共有するということも想定されるような場面で、社長は夢とこれからやりたいことについて語っている…!その前向きな姿に、私自身とても励まされたことが強く印象に残りました。

そしてそんな社長の話を聞きながら感じたのは「この夢の実現に向け、自分も力になりたい」ということでした。

「焼肉・ホルモン Meat農場」開業へ!

そこから半年くらいは、ボランティアのような形で美保野グリーン牧場さんに関わりました。田端さんと共に商品開発をしたり、補助金の申請を手伝ったり、クラウドファンディングをお手伝いしたり。美保野グリーン牧場に関わりを深めながら、私自身もより一層強い思いで「この会社のブランド肉をもっと世の中に広めていきたい」と思うようになりました。そんな中、構想したのが「焼肉・ホルモン Meat農場」です。

「焼肉・ホルモン Meat農場」では、美保野グリーン牧場直営店であることを看板に掲げ、「美保野牛」「階上ラム」等、同社のブランド肉をお客様が味わい、購入もできるお店にしようと決めました。

同時並行で店舗探しを進める中、おいらせ町で今の店舗の物件ともめぐり合い、ここでお店を開こう、と決意するに至りました。

このお店を軌道に乗せつつ、今後も美保野グリーン牧場のブランドを共に広げていきたいという想いは変わりません。直売店を増やしながら、笑顔で家族が集い、楽しめる場所作りを行っていきたいと思っています。

製造業(食品・医薬品・住宅・その他), 卸売・流通業, 小売・販売業, 飲食業, その他美保野グリーン牧場株式会社

美保野グリーン牧場は、八戸市美保野にある食肉の卸売業からスタートした会社です。現在は、食肉の卸売だけでなく自社ブランドである「八戸美保野ポーク」「美保野牛」「階上ラム」の3ブランドを展開し、商品開発から加工、販売までを自社で一貫して行うことで、お肉を通じた“食”の総合プロデュースを行っています。 私たちが提供する商品は、単なる食肉というジャンルに留まらず、これまで培ってきたノウハウや高い加工技術・設備、レシピアイディア等を組み合わせながら食肉に付加価値を付けることで「より美味しく」「より手軽で簡単に」「よりうれしく」を消費者に提供しています。 今後、日本国内はもちろん海外にもブランドを展開し、より多くの方に「私たちが作る新たな価値」を届けていきます。