• 経営層・管理者インタビュー

自らが実行者であれ

自らが実行者であれ

材株式会社

吹越 匡貴(Masaki Fukkoshi)

材株式会社

淨法寺 朝生(Asao Joboji)

このインタビューの背景

材株式会社は2024年で10期目を迎えました。このタイミングで、自社のミッションやビジョンを振り返る機会として、代表(浄法寺さん)と取締役(吹越さん)のお2人にお話を伺いました。普段聞けない経営者×マネージャー談義も含めてお楽しみください!

まず初めに、創業や入社の背景を教えてください。


私が幼少期の頃にさかのぼるのですが、当時子どもながらに印象的だったことが、「不満を言う人は多いけど改善行動しない人が多い」ということです。青森はPR下手だとか、所得低いとか、上司が仕事できないとか、批評家はたくさんいるのだけど。青森をPRする人もいなければ所得上げる仕組みを作る人もいないし、上司の為にこんなことしてみようかな、という事もなく。 課題意識だけはたくさん聞いていたので、シンプルにそのみんなが思っている課題を解決する会社を作りたくて材を立ち上げました。


私が材に入社したのは、5期目のタイミングでした。首都圏からUターンしてきた当時の私は「青森県のために何かしたい」という想いは強かったものの、この想い+人材業界でのノウハウを活かせるフィールドが少なくて。そこで見つけたのが材だったのですが、タイミングが悪く求人は出てなくて…。ただ、諦めきれなくて何度も社長に想いを告げて、面接の機会を用意してもらいましたね。


懐かしいね。求人が出ていなくても「会社に応募する」というスタイルを求職者には薦めているんだけど、吹越がまさにそうだった。募集はしていなかったんだけど、人間性含め実行者としてもすごく響くものがあった。材の社名の由来って法隆寺と深い関わりがあるんだけど、そのコンセプトに感動して応募してくれたのがものすごく嬉しかった。そういう深いところまで企業研究して理解や共感してくれていると感じたので、一緒に働きたくなったんだよね。 木を活かすように人を活かしたいっていう想いが面談で伝わってきた。



青森を変える・日本が変わる・世界は変わる


材での仕事って具体的にどんなことをするのでしょう?印象に残っているエピソードとともに教えてください。


今力を入れているのが、「インナーブランド創り」です。外に向けてのブランドを作るのも大事ですが、そもそも「中の人」が自分のブランドって何なのか?意識できていないと発信できない。 経営者ですら、「自分の会社の魅力ってなんだろう?」という問いに答えるのは難しいくらいなので、社員一人一人、住民一人一人が会社や地域のブランドについて認識するのが課題で、でもそこができるとリファラル採用とか観光振興、移住促進などが加速します。

民間企業も地域も、ブランド化の前提となるインナーブランドづくりを大事にしているし、インナーブランドづくりに取り組みたい方、興味がある方がいると嬉しいです。 魅力をブランドとして表現するのはもちろん、材の特徴として、「欠点を魅力に変える」という手法をとっています。 例えば青森につけたキャッチコピーが、「何もないところから失われていないところ」なのですが、地元の人は「何もない」とか「こんなところに何しに来たの?」とか謙遜して言っていたとしても、ほかのエリアが失ってしまった価値を青森は失っていないという捉え方をすると、「SDGs3,000年前からやってます」みたいな面白い表現もできるし「国道の一歩先が世界遺産」のような価値も伝えられる。民間企業でも、「うちの会社の魅力?ないなあ」という話はよく聞くのですが、変なところとか欠点をヒアリングしてひっくり返すと他に真似ができない価値が表現できるんです。 人も、会社も、地域も、魅力を活かし欠点さえも活かす。 これによって「すべてが活きる」という材の存在意義が実現できると思っています。


そのほかにも、青森県の大きな課題の一つとして「県内就職者の維持・増加」や「担い手不足の解消」があります。私が取り組んでいるのはこの課題に対する「採用支援事業」です。県内の各企業でも様々な工夫をされているのですが、材は青森県と協力しながら、このような県内企業の魅力を学生に伝えるイベント等を企画し、運営しています。中でも印象に残っているのは、昨年度行った「各学校の先生方と各企業採用担当者のマッチングイベント」ですね。私がファシリテーションしながら各学校の先生方からの就職活動に関するリアルな声を引き出していくのですが、それを聞いた企業の姿勢や行動が目に見えて変わるんですよ。人の行動のさらに奥、会社の方向性にも影響を与えられる仕事です。このような継続的なアプローチが、やがて青森県にいい影響を与えられると信じています。


きっと課題だらけの青森の課題解決事例が増えれば、ほかの地域にも励みになって良い連鎖反応が起こると思う。そういう意味では青森県が日本の、そして世界の課題解決事例発信拠点になれる。




起こる出来事を心から楽しむ働き方



材が大事にしている働き方について教えてください。


仕事を軸に、起こる出来事を楽しむということですね。私たちの仕事は、関わる方の範囲が広いということもあり、本当に刺激的な場面が多い。こんなすごい会社、こんなすごい技術があるんだと知れる機会が、率直に楽しいですよね。仕事ごとに、持ち帰ってくる楽しみもあります。


そうだね。心から仕事を楽しんでいる人の共通点ってやっぱり不満よりも行動してる。それでも嫌なことや不満ってどうしても出てくると思うんだけど、それをどう変えていくかが大事で、自己改善しないと何も変わらないし、そういう考えをベースに持っている組織であってほしいです。


同時に、自分たちが働く場所をそういう想いがある方が自然と集まれるような、誇れる場所にしていきたいですね。私がそうだったように、「青森県のために何かしたい」という方が安心して戻ってこれるような。

いいフリをありがとう(笑)。まさにその通りで、今年の6月にオープンしたシェアオフィスBLUEがその象徴。首都圏で実績を積んでインプットした人が、地元に帰ってアウトプットできる場所がないとか、そのような課題を解決しつつ、働きたくなる職場を全員で創っていく。これは私一人ではできないことなので、会社全体として取り組んでいきたいです。BLUEは20社以上が入居するシェアオフィスになるのですが、材だけではできないことを多様な会社が活かしあって実現させたいです。


浄法寺さん、吹越さん、ありがとうございました。 自らが旗を掲げて地域課題解決のために材を創業した浄法寺代表、そのビジョンに共鳴し、想いを持って挑戦し続ける吹越さん。両者の異なるエピソードを聞きながら、「実行者」としての大切な考え方を学ぶことができました。



IT・通信・インターネット業, マスコミ・広告・デザイン業材株式会社

木の癖さえも活かして、世界最高の木造建造物を建てた宮大工のように。 地域の観光素材や農林畜産素材を組み合わせ、他に出来ない商品を創ろう。 活用されていない人材の「才」を知り、チームを組み、生きがいを持てる街づくりをしよう。 材の社名には、物や人の才能を活かす事で地域課題を解決していくという想いとMISSIONが込められています。