私が青森に戻った理由～首都圏でのキャリアを地域に還元する～

金八神漁網株式会社の取締役である神太成さん。金八神漁網株式会社は青森市に本社があり、ホタテの養殖カゴの製造・販売や漁業資材の販売を行っている会社です。
社長の神慶太さんの長男で、現在は取締役としてご活躍されている神さんに、経営者の長男として過ごした半生、地元青森県へのUターンの想い、会社の展望をお聞きしました。 青森県で働くことの魅力・金八神漁網の魅力とは？これから会社を背負っていく若き挑戦者である神さんのインタビュー、ぜひご一読ください！

現在までを振り返って

正直、高校生の頃は会社を100％継ごうとは思っていなかったです。
家が会社を経営しているのは小さいころから見ていたので、自分もゆくゆくは継ぐのかなとフワッとは思っていました。しかし大学に進学するのは決めていましたし、進学するなら東京に行こうと決めていて。父からも「自分の好きな道を行きなさい」と言われていたので、東京の大学に進学しました。ただ学部だけは、将来会社を継いだ時のことを考えて経営・経済が学べる学部を選びました。

大学3年生になって就職活動が始まり、そのタイミングで父が祖父から会社を引き継いで社長に就任しました。今までよりも「継ぐ」ということをリアルに感じましたが、そこでもまだ青森に帰る選択肢はありませんでした。東京で頑張ってみよう！と就職活動をしていましたが、なかなか辛かったですね（笑）
先輩の話を聞いたりして、入社してすぐ裁量権を持って挑戦できる環境を選び、印刷業界大手の子会社に就職しました。UFOキャッチャーの景品やキャラクターグッズの企画提案・製造などをしている会社で、福利厚生や職場環境もしっかりしていて仕事内容も自分に合っていたので、とても充実した生活を送っていました。

結婚・子育ては、地元青森で

東京での仕事はとても楽しくて、辞める理由は正直無かったです。ただ、結婚・子育てをするなら青森というのは、頭の片隅にありました。

人間関係もよく福利厚生もしっかりしていて良い会社だけど、将来のワークライフバランスを考えると、自分の理想の暮らしは東京では出来ないのかなという思いもありました。そういう意味では青森県の方が落ち着いて仕事に集中できそうだと思いました。
関東に出て10年、結婚というタイミングもあり覚悟を決めて地元へUターンすることにしました。

帰ってきて父が経営する神漁網で働き始めて、一番はじめにいいなと思ったのはワークライフバランスが根付いていたことです。仕事も当たり前に頑張り、さらに支えてくれている家族を大切にしている社員がほとんどで、お子さんの送り迎えで早く帰れるような制度を活用していたり、営業社員も繁忙期以外は定時にすぐに帰ります。休みの日はしっかり休み、家族の時間を作れています。会社から働きかけなくても、社員の意識が出来上がっていて驚きました。

“「仕事＝人生」ではなく、「人生の一部に仕事がある」”
東京での環境との一番の違いであり、私の理想の生活を実現できる環境がここにありました。

会社の課題と向き合いたい

会社の雰囲気はとてもいいなと思っているのですが、働きやすさや若手人材の育成という部分でまだまだ課題を感じる部分もあります。
それに対して一歩引いた視点で会社全体を見ながら動くようにしています。例えば、社員の声に耳を傾けて年間休日を増やしたり、これから事業を拡大していくためには若手の人材確保が必要になると考え、今年から高卒採用にも力を入れて動き始めています。

幼いころから家族が経営している姿をそばで見てきましたが、これからは自分も少しずつ経営参画していき、父をサポートしていきたいと考えています。
経営者としての修行は始まったばかりなので、父が安心してバトンを渡せるように勉強も経験も積んでいきたいと思っています。

社風の根底は「誰かのために」

神漁網設立の秘話に、お世話になっていたお客さんのために全力を尽くした結果、商売を始められるようになったというエピソードがあります。

ホタテの養殖カゴの製造を始めたのも、地元の漁師さんのためでした。青森県のホタテ漁は元々、天然のホタテを網ですくう底引き網漁が主流でしたが、その手法では年々個体数が減ってしまい、漁獲量が少なくなってしまいます。それでは漁師さんたちの所得も安定しないので、漁獲量が安定する養殖を陸奥湾で始めようということで、養殖カゴの製造をスタートしました。

私たちの根底にあるのは「お世話になっている、誰かのために」という想いです。

この想いは今の私たち社員にも、しっかり受け継がれています。
外回りから帰ってきた営業社員と会話をしたときに、漁師さんに寄り添って困りごとの解決策を考えている様子が伺えたり、営業社員での全社会議では漁師さんからの相談内容が会議の中心になったりするほどです。
漁師さんのために何とかしてあげたいという社員の多い会社だと思います。

それもあってかここだけの話、季節の海の恵みをいただくことがよくあります。
青森県の漁師さんは本当に温かみのある優しい方が多いです。

それだけ漁師さんから感謝され信頼されるのも、営業社員が日々漁師さんのために全力で動いているからだと思います。

次の時代の神漁網へ

既存のお客様との基盤が安定している分、新しいことへ挑戦しやすい環境です。
経営陣が新しい取り組みへ肯定的なので、私自身も会社をさらに大きくできるような事業展開を視野に入れています。

事業成長の可能性や会社の規模拡大を見据えると、一緒に新規事業を考えてくれるクリエイティブな人材がきてくれたらいいなと考えています。もちろんルート営業の社員も大募集しています。
業界的にもニッチではありますし、社名を聞いたことがないという方も多いとは思います。
ですが実は、地域でのシェアは１，２を争っていて、企業としての安定性には自信があります。安定した環境の中で挑戦したいと考えている方には相性がいいと思います。

「生まれ故郷に帰ってきたからには、地元にいい影響を与えていきたい。」
そのためにも金八神漁網を青森・北日本の一次産業をリードする企業として成長させていきます。