- 経営層・管理者インタビュー
お客様や仲間を大切に思いやることで、「また来たい」につながる仕事
川口さんは、野辺地町にあるマックスステーション野辺地SS(ガソリンスタンド)で店長として勤務しています。野辺地町の周辺地域への灯油配達なども行い、地域のインフラを支える拠点の側面もある野辺地SS。川口さんが働く上で大切にしていることや、部下への想いについて伺いました。
野辺地を拠点に地域のエネルギーインフラを支える仕事
田村商事は昔から馴染みのある、地元の会社でした。高校時代、田村商事が運営しているむつ市内のガソリンスタンドの前をよく通っていて、その当時からスタッフの掛け声が聞こえてきて「元気な会社だな」と感じていました。
前職は別会社のガソリンスタンドで働いていたのですが、田村商事の社員に何度か誘われたことがきっかけで、田村商事に入社することになりました。入社当時はむつ市内の本社スタンドに勤務していましたが、野辺地SS(サービスステーション)の新規オープンに伴って先代の会長から指名され、立ち上げから携わることになりました。それ以降、14年ほど野辺地SSで勤務しています。
店長もスタッフも同じ目線で働く職場
野辺地SSには「フルサービス」と「セルフサービス」どちらの給油レーンもあり、車の誘導や給油などを主に行います。この野辺地SSがオープンした14年前は「セルフサービス」のガソリンスタンドが地域にありませんでした。初めてのセルフサービスにお客様も慣れていないので、給油の仕方が分からないという声が多く説明しながら給油していました。いくらセルフといえど、やっぱり店員は必要なんですよね。
日常的な業務は、私も含めスタッフ全員で行っています。これまで様々な会社に勤めてきましたが、上司は黙って座っているイメージが強く、わたしはそういうのが嫌で。雑務も含めて全てみんなでやろうと思っています。店内の掃除も社員に任せっきりにはせず、スタッフと同じ目線に立って同じ仕事することを大切にしています。
現在、野辺地SSでは6名のスタッフが勤務していて、勤続10年程度の中堅層と、新卒で入社した若手社員がいます。自分が教えることばかりではなく、若手社員から教えられることもたくさんあります。社員同士で、仕事の話はもちろん、プライベートの話もします。朝から晩まで気を張り詰めて仕事をするという雰囲気ではなく、適度に冗談も言い合いながら、和気あいあいと仕事をしているので、社員同士でなんでも話しやすい雰囲気があると思います。タイヤ交換などが集中する時期は繁忙期になりますが、そういう時期は若い社員にも疲れが見えるので、フォローし合いながら仕事をするようにしています。
また、野辺地SSでは燃料配達も行っています。工事現場へは軽油、学校関係施設などへは重油、一般家庭へは灯油の配達などさまざまです。こういった燃料配達は周辺地域の方との交流があった上で始まったサービスで、最初は顧客の獲得に苦労しましたが、地域のニーズに寄り添ったサービスを提供できるように努力したからこそ、任されていると思います。現在は、野辺地町内だけでなく、七戸町、平内町、東北町、六ヶ所村などの近隣市町村まで燃料を届けています。
どうしたら効率的に仕事できるか、お客様第一のサービスができるかを常に考える
仕事をする上では、どうしたら効率的に仕事できるかを常に考えるようにしています。たとえば燃料配達一つとっても、お客様からお願いされた時に、「○件までならできる。○件以上は無理」と数字で線引きするのではなく「どうしたら対応できるか」をポジティブに考え、効率化を図って対応するべきだと考えています。
近年はハイブリッドや電気自動車、オール電化住宅などが増えていますが、特に雪国の青森では、電気のみに頼ることはリスクもあると感じています。やっぱり石油はなければならないものです。そういう面では、地域のインフラを支える仕事だと感じますね。
東日本大震災の時には、周辺地域一帯が3日間ほど停電している中、野辺地SSは災害対応スタンドという事もあり、自家発電で営業を継続する事ができました。他店では1台につきガソリン10リットルまでという制限もあったようですが、田村商事では自社のタンクローリーを持っていたため、野辺地SSでは給油制限をすることなくフル満タンにも応えることができました。このとき、岩手の被災地からも燃料を買いに来るお客様もいらっしゃいましたし、震災を機に今まで来ていなかった地元のお客様が来てくれるようになったり、法人のお客様との取引が始まったきっかけにもなりました。有事の際の行動を、地域の方も見てくださっていたんだなと思います。この経験をしたスタッフがいるからこそ、今後なにか災害があったとしても迅速に対応できると思いますね。
「ありがとうございました」の一言が、ガソリンスタンドではとても大きな力になる
スタッフには、自分がされて嫌なことは相手にはしない。親を大事にして、仲間を大事にして、家族を大事にしてお客様も大事にする、ということを伝えるようにしています。トイレだけ借りにくるお客様もいますし、給油のついでに洗車をするお客様もいます。どんなお客様にも気持ちよく帰ってもらって、また来たいなと思ってもらえるような店づくりを心がけており、そのことをスタッフにも理解してもらい、一緒に取り組んでいます。自分も色々なガソリンスタンドに行って思うのですが、「あいさつが気持ちいいな」と思えば、また来ようと思うんですよね。「ありがとうございました!」の一言が大きな力なんです。
お客様のなかには、地元の方はもちろん、六ヶ所など遠方からわざわざ給油しに来てくれる方もいらっしゃいます。給油もコーティングも、お客様から「ありがとう」と声を掛けていただけることが、やっていてよかったなと感じますね。必ずフルサービスのレーンに来る常連さんも居て、「私たちのサービス」を求めてくれているのはうれしいです。
先日も、4年ぶり来店されたお客様がいました。話を聞くと事故で入院していたようで、「やっと会えた!」と言ってくださって。わざわざ来てくれたのはうれしかったですね。お客様と身の上話や何気ない会話をするのが楽しいんですよね。その時が一番好きかもしれません。
ガソリンスタンドでの人生経験は、確実に自分を成長させてくれる
今後の目標としては、自分を田村商事に誘ってくれた社員と同じ気持ちを持ったスタッフを一人でも多く増やしたいです。若手社員の育成に力を入れていきたいですね。新たな社員が増える事で、その分新たな業務にも取り組めるので、仲間が増えてくれればと思います。
わたしが求める人材としては、学歴や資格を持っているかどうかなどは関係ありません。やる気さえあればいいと思っています。
若い人は、まだまだやってみたいことや挑戦したいことがたくさんあると思います。その過程で、ガソリンスタンドを経験することで、人と接する機会を圧倒的に積むことができます。10人のお客様がいれば10通りの対応があって、自身の中に引き出しが増えてきます。その過程でさまざまなことを学ぶことができると思うんです。ここで働いて経験したことは、絶対に無駄にはならない。そういう経験を積むという意味でも、人生を豊かにできると思います。