- 社長インタビュー
ラーメンの、その先にあるもの。
株式会社らいもん 代表取締役。1974年生まれ。45歳。青森市出身。高校卒業後、一般の会社に就職する。 1996年22歳の時に飲食業へ転職し、2002年28歳の時に「株式会社らいもん」を設立し、ラーメン店「雷門」をオープンする。 2005年には、煮干しを使ったラーメン店「自家製麺中華そば ひらこ屋」をオープン。31歳の時に病に倒れ、「雷門」の閉店を余儀なくされる。その後、「ひらこ屋」は行列ができる人気店へと成長し2007年に「麺屋 らいぞう」をオープン。 そして2018年「中華そば ひらこ屋 㐂ぼし」をオープンさせる。現在、青森を代表する煮干しラーメン店となり圧倒的な人気を誇る店へと成長させる。
常に出汁に改良を加え続けているのも人気を維持する秘訣かもしれない。そんな探求心を持ちチャレンジし続けている三上社長にお話を伺った。
苦手だった「煮干しラーメン」の概念を変えた名店
「小さい頃はラーメンが好きではなかった(笑)。」と三上社長。
母子家庭で育った環境もあり、子供の頃から自分で稼いで早く自立したい気持ちは強かったと思う。それで最初に働いたラーメン店が繁盛しているお店だった。
きっかけは、「なぜこんなに繁盛しているのか?それを知りたかったから」だったそう。しかし、ここで働いたことがきっかけで“ラーメン”の奥深さに魅力を感じることになり、“現実的に自分が起業できること”として意識し始めたという。そこからは自分の味を探すべく数々のラーメン店の食べ歩きをした。
そんなある日、その後の人生に影響を与える名店「武蔵」と出会う。苦手だった煮干しダシを初めて“旨い!”と思えた瞬間だったという。それから何度も食べに通い、そこの出汁を研究した。自分の好きな味を追求し続けたことで“煮干しラーメンは食べられない”という概念が変わったのだという。そして28歳の時に自分の店を開業することになる。
「やる!と決めたことは絶対やると決めている」その原点
「夢はあきらめなければ叶う」とさらりと言う三上さん。しかし苦労も多かったという。
「経営のことについては勉強不足でわからないことばかりで、従業員を雇う余裕も育てる余裕もなかった。そんな時にずっとついてきてくれた一番弟子と応援してくれた友人のお陰で今がある。」と話す。
経営不振に陥っていた時について「一番弟子とはどうすれば良くなるのかを追求するあまり毎日のように喧嘩していました(笑)。友人はまずいと言いながらほんと毎日のように食べに来てくれました(涙)。その人達のためにも絶対に美味しいラーメンを作りたいと思いました。」と、当時を振り返る三上さん。
「どこにもないラーメンを作りたい!」という思いがあった。そのために麺、スープ、器に入る全てのものを全てここで作ると決めていたのだが、知識が浅く全部イチから学ばなければならなかった。
それがとても大変だった様子が伝わってくる。応援してくれる周りの想いや期待を覚悟に変え、納得がいくまで出汁の改良する作業を根気よく続けていくと店は徐々に客足が伸び始め、行列が出来る人気店となっていった。
“1人でチャレンジ”から“皆でチャレンジ”に変わった
「自分が一番やりたいことは“他にないこだわりのある商品”を生むこと。これがやれているのはスタッフがいるからこそ。」と終始おだやかな雰囲気で話す三上さんだが、昔は感情的で頑固だったという。
人がついてこないのは自分のせいという自覚があったし、自分1人いれば何とかできると思っていたのだとか。そんな三上さんが病気で2ヶ月入院したことがきっかけで180度考えが変わった。スタッフと周りの人にすごく助けられ、“1人でラーメンを作っていたわけではなかった”ということに初めて気付いたそう。
「その時の感じた感謝の気持ちは思い出すと泣きそうになる。株式会社らいもんはグループ全体のスタッフがいて成り立っている。このマインドがスタッフにも浸透してきていることが嬉しい。」
自信がないからこそやるべきこと
「“もっと美味しいものをつくれるはずなのに”は毎日思うこと。それを最後に微調整して100%にするのがプロの技量だと思う」と話す。
「スタッフには納得いくまで味のブレをどう調整するか、とことん向き合ってほしいと思う。それが自信のある1杯となるし、味が決まる最後のひと口はその気持ちが必要だからね。」
“美味しい1杯”をお客さまに食べてもらいたいという思い、そう思いやる気持ちをとても大事にしているそう。
「そして皆んなには探求心を持って挑戦してほしい。あきらめずに挑戦した結果が、仮に失敗したとしても一歩進んだという心地良さがあることを自分が知っているから。」
そんな経験をスタッフに沢山させたいのだそう。今でもラーメンの食べ歩きは欠かさないという三上さん、だしソムリエの資格を取得してからは今まで以上にだしを分析する事が楽しみとなっている。
「スタッフにも自分の舌で感じて分析できる力をつけてほしいですね。」「ラーメンの話をし始めると止まらないですね(笑)」全ては美味しいラーメンでお客さまに感動を与え続けたいという思いがあるから。
これからも社員と一緒に会社を創っていきたい
「今の課題の1つはスタッフに季節限定メニューの開発などが出来る時間を十分作ってあげられていないことです。休憩も大事なので全ての店舗でゆっくり休める環境も整えたい、心に余裕を持って笑顔で働けるように、社員と共に少しずつ働く環境も整えています。そのことで社員の家族の幸せにもなれば嬉しいですね。
会社としてもチャレンジし続けたい。今あるものをどれだけいい形に進化させられるか、それをスタッフと一緒に創っていきたいと思う。そのための仕組みづくりは自分がしていかなければいけないこと。経営者としてもっともっと頑張らないといけないですね。誰と働くかはとても大事、わくわくする楽しい会社でありたいと思う。」