• 社員インタビュー

洋野町にいながら「すぐそこ、東京。すぐそこ、世界。」

洋野町にいながら「すぐそこ、東京。すぐそこ、世界。」

このインタビューの背景

入社6年目、営業事務として活躍する城内望歩(じょうない みほ)さん。地元・洋野町出身ですが、もともとは地元で働くつもりは全くありませんでした。そんな彼女は今、ここで働くことを「洋野町にいながら洋野町じゃないみたい。東京や世界につながっている」と熱弁します。その理由を伺いました。

地元では絶対働かない!?

——城内さんの入社のきっかけは?

私はここ、洋野町出身なんですけど、高校は盛岡、大学は北海道に出ていました。卒業後は「せめて本州に帰ってきなさいよ」という母の言いつけを破ってそのまま北海道で就職しました。次第に母から「帰ってこい」と言われなくなってきたので、これはやばいなと思って 帰ってきたのが24、5歳のころでした。ただ、地元で働くつもりは全然ありませんでした。やりたい仕事がないだろうなと思っていたんです。洋野には中学生までしかいなかったので、中学生の生活圏内にある仕事しか、この町にはないと思い込んでいたんです。例えばスーパーとかコンビニ、駅とか。だから盛岡の方にでも出て働くつもりでした。

ですが、私の父と弊社の社長が知り合いだったのがきっかけで、気づいたら面接を設定されていました(笑)。「面接には絶対行かない!」って、前日にはショッキングピンクに爪を塗って抵抗したんですが、当日になると結局行っちゃって。で、行ったら行ったでいい子になっちゃうので「あ、この爪はすぐに落とします」とか言ったりして(笑)。で、今に至ります。

——すごいスタートだったんですね!今の城内さんのお仕事を教えてもらえますか。

営業事務をやっています。お客様から注文を受けて、現場の人と「こういう注文が入ったんですけど、いつ出せますか」とやりとりをするという流れです。私の主な担当は飲食店のお客様と、ネット通販もやっているので個人のお客様ですね。お見積もりの作成や、口コミへのご返信、クレームの対応もしています。

洋野のウニの価値をお客さんに教えられた

入社後印象に残っている仕事があるのですが、都内の百貨店で開催される催事に行った時の事。試食をしたお客さんが「うん、ちょっと考えます」って一度離れて、広い会場を一周して「やっぱりあの味が忘れられない」って帰ってきてくださったことがありました。嬉しかったですね。「お帰りなさい」と言ってお迎えしました。

私はこの町で育ったので、ウニは小さい頃からたくさん食べてきました。ウニってとてもデリケートなので、人の手でしかむけないんですよ。だから、親戚の中に漁師さんがいると、親族総出でウニむきを手伝うという風習があります。うちの場合は祖母がよくウニむきに行っていて、作業のお礼がお金じゃなくてウニなんですよ(笑)。だからシーズンがくると冷蔵庫にウニがたくさんあって、「まずウニ食べて」みたいな感じでした。だからこの味が当たり前だと思っていたんです。そんな小さい頃から親しんできたウニが、都会に出ると「おいしい、おいしい」って言われる。最初は「まぁ、おいしいとは思ってましたけど」ぐらいのテンションだったのが、徐々に「コレ美味しいんですよ!」と前のめりに伝えるようになりました。洋野のウニの価値をお客さんに教えられたんです。

会社と仕事の魅力は

——会社の雰囲気ってどんな感じですか?

若いです!“若い”って雰囲気じゃないか(笑)。ママさん、パパさんもいるので、「すみません。今日、子供が熱出たので帰ります」っていうのも言いやすい雰囲気で、みんなでサポートし合っていますね。私も結婚して子どもができてもここで働きたいなと思っています。子供が大きくなってから入社したとか、出産はこれからというメンバーばかりで、うちの会社ではまだ産休を取った人がいないので、産休第一号になりたいですね。

——ずばり、一言で言うと北三陸ファクトリーってどんな会社ですか?

会社の特徴を一言で表現すると、「すぐそこ、東京、世界」ですかね。洋野町っていうすごい田舎にある会社なんですけど、洋野じゃないところにあると言うか……。確かに洋野町にあるんですけど、仕事が東京や世界に繋がっているので、ときどき本当に「あれ?ここ洋野町なの?」って思うことがあるぐらいです。例えば、お客様はほとんど岩手県外で関東圏が多いし、国外に輸出もしています。催事で1週間ぐらい東京に行くこともあります。お客様にはミシュランの星を持つレストランさんもいたりして、もちろんみなさん大事なお客様ですけど、そういうお店にうちの味や品質を認めてもらっているということは誇りになりますね。他にも、先日ウニサミットをやったんですが、そこにいらっしゃった方々も普通に仕事をしていたら出会わないんじゃないかなっていうすごい人たちでした。うちの取り組みの価値を認めてもらっているからこそ、そういう方々も呼べるんだと思います。

悔しいけど、東京で流行ったものが全国に広がるとか、やっぱり東京が世の中の基準になってるじゃないですか。だけど岩手にいながら、東京と同じ土俵に立てていると感じるんですよね。それはすごく仕事のやりがいになります。物理的には洋野にいるんだけど、その先がこう、ワッと広がってるというか。そんな会社です。

海と働いている

——ここで働いて、城内さんの中で起きた変化ってありますか?

海は見るものだと思っていたんですが、今は……、 “海と働いてる”と言うか。オフィスの目の前に海があるんですが、本当に毎日シケたり、風が吹いたり、いろんなことがあります。漁師さんたちからウニを仕入れているので、海がどんなに厳しいかも肌身で感じます。毎日天候も気にするし、「もうすぐ台風が来るから今のうちに漁師さんに多めにウニを頼んでおこう」と考えたりもします。私たちは漁師さんたちが命がけで取ってくれる商品を売っているので、漁師さんたちに敬意を抱くようになりました。漁師さんたちは自分で自分の頑張りを「どうだ!すごいだろう!」とは言えないので、私たちが代弁しなきゃと思うんです。私たちの役割は漁師さんたちの通訳だと思っています。

地域課題解決事業, 製造業(食品・医薬品・住宅・その他), 卸売・流通業株式会社北三陸ファクトリー

北三陸ファクトリーは、「北三陸から世界の海を豊かにする」をミッションにマリンビジネスを通じて新しい未来の創造にチャレンジする水産ベンチャーです。 親会社である(株)ひろの屋が設立した2010年から、洋野町の復興から北三陸の復興、日本の課題解決、世界の課題解決と解決したい課題の規模が広がり、同時に私たちの役割や影響力も拡大してきました。 地域復興から地元漁師の後継者不足や所得向上、地球温暖化やウニの食害による磯焼けの課題解決と取り組む中で、「ウニの再生は一石二鳥どころか一石四鳥で海を豊かにする」可能性に気づき、地元洋野町に軸足をしっかり置きながら世界の海の課題に取り組んでいます。 つまり、海の悪者とされているウニを駆除しながら養殖によって活用し、守り育てた海藻によってブルーカーボンを増加させ温暖化を防ぐという好循環を実現します。さらに、ウニの販売利益が地元漁師さんに還元されるよう、「1円でも高く買い取る」取り組みも進めています。