• 社長インタビュー

常に自分が「知らないこと」に目を向け、新たなことを知る努力を

青森魚類株式会社

若井 由治(Wakai Yoshiharu)

常識を疑い、マニュアルを疑い、本質を知ろうとする。それが青森魚類株式会社、若井社長のスタンスです。学者のように深い知識と、幅広い分野に関する知的好奇心を持ち、新たなことに挑戦し続けてきた会社経営の歩みと、人材採用・育成にかける想いをお聞きしました。

常識を疑い、無知の知を知る努力をし続ける

私は常に「常識を疑うこと」、そして「自分が何について知らないのか」を知ろうとすることを心掛けています。また、今日の常識は明日の非常識と言われるように、何か自分が知り得たと思えることも、常に時代の流れと共に変化しているものであると捉え、常に考え続けることを自身に求め続けています。

例えばかつて電話回線が24回線までしか使用できないという時代がありました。当時から私たちのビジネスはお客様との電話でのやりとりが主たるコミュニケーションであり、回線がふさがりお客様を待たせてしまうということが頻繁に起きていました。これは何とかせねばならぬ、と考えた私は販売メーカーに連絡を取り、回線を増やすことを依頼しました。当時のメーカーからの回答はNO。不可能であると言われましたが、コンピューターに関する知識を当時から学んでいた私の中には「このようにすれば回線を増やせるはずだ」というデザイン案がありました。最終的にはメーカーに頼らず、直接工場と連携をとり、知恵を出し合うことで64回線を導入させることが出来ました。

これはほんの一例に過ぎません。物事の表面だけを見る。もしくは、誰かの言っている意見を鵜呑みにする。それだけでは本質的に物事を理解し、解決することにはなりません。物事を多面的に見て、情報を集め、その上で解決策を自らの頭で考えていく。そのようにして私は進んで来ました。そして、社員たちにもそのように仕事を捉えていく姿勢を求め続けてきました。

意外に思われるかもしれませんが、当社の社員は「あおもりコンピューターカレッジ」という青森市のIT関連の学科がある専門学校出身者が多数在籍しています。時代を先取り、これからの会社経営にはIT関連の基礎知識を持った人材が必要であるとの考えから採用を続けて参りました。おかげ様で、IT分野に詳しい社員が現在多数活躍しています。魚が好きである、コミュニケーションが得意である、という人ばかりが当社の採用候補者となり得るわけではありません。自ら、世の中を知り、未来に向け学び続けていける人と共に会社を作っていきたいと考えています。

答えのない世界を生きる

私たちが育てていきたいのは「脱マニュアル型」人間です。マニュアルがあり、それ通りに出来る人ではなく、マニュアルそのものを疑い、自ら「なぜなのか」の問いを立て追求していけるような人を指します。なぜなら、今も既にそうですが、これからの時代は益々「答えのない世界」が待っているからです。マニュアルを作ること自体は非常に大事なことですが、マニュアルは過去のもの。未来への答えはそこに書かれていません。今を生きていく為には、自らの頭で考え抜き、自ら答えを作ろうと動いていける人材を育てていきたいのです。

私が社員に求めるのは「発想力」「ヒヤリング能力」です。「発想力」というのは、固定概念にとらわれず、常に疑問をもち、多様な考え方を取り入れ「こんな考え方もあるのでは」「こんな見方もあるのでは」と日々考え続けるところから生まれます。「ヒヤリング能力」というのは、相手がどんなことを考えているのか?ということを引き出す力です。その為には相手の視界に立ち、相手の考えを理解し、相手の使う単語一つの定義を理解しようとするスタンスが必要であり、その上で相手の考えを引き出す質問を投げかけていく必要があります。そのように、常に自分に問いかけ、考えていく人を育てたいのです。その為には、結論としてやはり「自分って何が分からないのだろう」ということを考え続けるしかないのです。

なぜそのような人を育てたいのかというと、過去を知らずに未来を知ることは不可能だからです。その過去を正しく知る為には、自分で情報を集め、考え抜くことです。私は毎年かなりの量の学術論文を読みますし、本も読みます。そうやって、新しいことを1つ知るたびに自分が知らなかったことに1つ気付くことを繰り返しています。

若者を雇う会社の覚悟

当社には社員が朝食・昼食を食べることが出来る社員食堂があります。食堂を担当するスタッフに私が常にお願いしているのは「野菜を出してくれ」ということ。社員の健康は会社の財産ですから、社員には毎日栄養豊富な食事をとり、体を大事にしてもらいたいと考えています。当社の勤務時間は朝4時から始まります。健康管理をしっかりして、体作りをしていかないと体がもちませんからね。それに、奥さんも旦那さんが朝と昼食べてきてくれたら嬉しいでしょう?

今は入居者がおりませんが、以前は社宅もありました。結婚するまでは社員が社宅に入り、食事は社員食堂でとり、お金を貯められるようにと配慮していました。親心のようなものですね。若者を雇うということは、その人の人生を会社が背負う事になりますから、それ相応の覚悟が必要です。1度当社の社員として雇ったからには、しっかり育てていきたいと考えています。

失敗を乗り越えた先に

例えばサーバーシステムやコンピューターのソフト。当社にとって最適なシステム構築を模索する為に、私の自己資金を充て購入し、社員へ提供してきました。自己資金で投資する理由は、費用対効果を見ない為です。会社の経費を使う以上、新しいシステムを導入する場合は、その費用対効果がどうなのかということを判断しなければなりません。しかしながら、費用対効果を基準にしている限り、社員は失敗できません。新たなものを作る為には、必ず失敗しなければ分からない壁があるのです。その壁にきちんと突き当たり、乗り越えて、最適なものを探し求めて構築していくというプロセスを経て初めて新しいものを作ることが出来るのです。

そうやって、自ら考え行動し、試行錯誤している内に自然と主体性が育まれます。試行錯誤をしながら経験をするということが重要であり、そうやって主体性を育む会社でありたいと考えています。そのように自己資金を投資することで社員が挑戦する機会を得て、新たな知見を広げてもらえれば、その知見がそのまま会社の成長となり財産となります。それで会社に還してもらえれば十分なのです。

未来への挑戦

私が求めるのは、ルールに収まらない人。ルール通りに、仕様書通りに物事を進めるのが上手な人は世の中に沢山います。しかしながら、ルールに収まらない人は、ルールさえ自分で作り、自分で切り開いていける。私自身が常に挑戦していますが、社員にもそれを求めます。例えば、かつて活魚(生きた魚)の卸はタブーとされていました。なぜなら魚が簡単に死んでしまうからです。でも、私は挑戦したかった。なぜなら、魚が死なない原理は酸素にあると分かっていたからです。海水の中にある溶存酸素をいかに保つかということがカギだと分かっていた私は、設備を買い揃え、徹底的に水の切れや泡の様子を観察し、データを作り、魚が生き続けられる環境はどのような状態なのかを突き詰め、今のやり方に至りました。現在、活魚の卸はどこでも取り入れていることですが、当社は先んじてその道を開拓しました。

このように、まだ誰も取り組んだことのないこと、挑戦していない場所にこそ、これからの会社としての伸びしろがあります。まだ見ぬ、これからの未来に向け私たちと共に挑戦していきませんか。

卸売・流通業青森魚類株式会社

青森魚類は青森市中央卸売市場における水産物の卸売会社として、鮮魚や冷凍魚、塩干魚、加工食品等を日本全国はもちろん、世界中から集荷し消費者へ安定的に供給する重要な役割を担っております。また、魚介類だけでなく、魚肉ソーセージ、おでん、伊達巻、カマボコに至るまで、普段スーパーで目にする食材を多数取り扱い、1日約2000アイテムを供給しています。 年々、人々のライフスタイルは多様化し、消費者ニーズや食文化も常に変化しています。私たちはその変化を敏感に感じ取り、広い視野と専門知識、新しい発想を柔軟に取り入れ、豊かな食生活を送れるよう取り組んでいます。また、海外における魚食の普及もあり、海外での需要は着実に伸び水産品のグローバル化が進んでいる昨今、私たちの果たす役割はより一層重要になっていきます。