- 社員インタビュー
目指すは鮮魚のプロフェッショナル。青森の台所を支える仕事
熊谷さんの仕事は、仲卸業者やスーパーのバイヤーへ向けて新鮮な魚介類を仕入れ、提供すること。夜明け前から始まる市場での熊谷さんの仕事について、詳しく伺いました。
家族の役に立てる仕事がしたい!Uターンで中水へ入社
わたしはマグロが有名な大間町の出身で、実家が魚の加工工場を営んでおり、中水青森中央水産のことは「取引先」という認識で知っていました。高校卒業後は神奈川県の建設会社で建築関係の仕事をしていましたが、働き始めて4年ほど経ち、自分がこれからどうしたいかを考えたとき、人の役に立つ仕事がしたい、まずは自分の周りにいる家族の役に立てる仕事がしたいと思い、青森にUターン。実家の加工工場との付き合いが強かった中水で働くことで、これまでの実家の取引ルートをさらに広げていける仕事ができ、ビジネスパートナーとして親の手助けができると思い、2018年に中途採用で中水に入社しました。今年で入社3年目になります。
現在は地元の大間に帰ることはなかなかないですが、仕事の電話で実家とやり取りすることはあります。親でありビジネス上はお客様なので、ちょっと変わった関係かもしれません(笑)。
市場というと、漁師や魚屋さんの大声が響きわたるようなイメージで、感情豊かな職人気質の方が多いのかなと想像していたのですが、実際に入社してみるとそんなことはなく、話しやすい方が多かったです。
毎日変動する、さまざまな条件から値段を決め、必要とする人へ売るのが仕事
現在は鮮魚部に所属していて、商品の仕入れ、集荷を行い、仲卸業者、スーパーのバイヤーなどへの商品販売、提案をすることが主な仕事です。わたしはタイ、ハマチ、カンパチなどの養殖魚と、青森県産の生ウニを担当しています。
養殖魚は価格が割と安定していますが、生ウニなどは入札と言って浜で買わなければならない決まりになっています。産地や収穫量、品質によって、生ウニは毎日価格が変わります。時化等で漁ができないと価格が2~3倍になることがあるんです。毎日のように変動する商品の品質を見極め、またお客様の状況を見ながら、その日の生ウニの値段を付けるのもわたしの仕事のひとつです。曜日や天気にもよりますが、大体お客様からいただく発注の1.5~2倍の量を、漁師さんや漁協から仕入れるようにしています。
生ウニが日本で獲れない時期は、海外からも取り寄せます。日本では一年中イクラやウニが食べられますよね。輸入業者を通じて、アメリカやカナダ、チリ、メキシコ、ロシアなどから取り寄せたものを、市場で販売しています。
担当する鮮魚を極められるのがこの仕事の魅力
毎日の仕事のなかで難しいなと思うのは、集荷とセールスのバランスです。品物ばかり集めても、売らなければいけないですし、そもそも売るものがなければ成り立たないので、そのバランスをうまくとっていくのが難しいところです。生ものを取り扱うため、時間が経てば品質も下がります。その日に仕入れたものはその日のうちに売ることを心がけています。
集荷とセールスのバランスを見極めるには、日々多くの業者さんとコミュニケーションを取って、どんなものを欲しているかを把握しておくことが大切です。仕入れ先やお客様とは基本的に携帯電話でやり取りをしますが、毎日大体100~200件は電話をしています。そのほか、市場に足を運んでくださるお客様もいらっしゃるので、その方々に対してのセールスも行っています。「売る」というのはお客様との合意の上でのことなので、そこでのやり取りが難しいなと感じることもありますね。
市場の朝は早いです。まだ日が昇らない午前3時に出社して、売場で業者さんに向けて商品を販売します。6~7時くらいには自分のデスクに戻り、そこから終業まで事務作業をします。事務作業では、明日以降の品物を集める作業(集荷作業)、集めたものを売る作業(セールス)を行います。
「明日こういう魚が入ってきます」というセールスや、「一週間先、一ヶ月先にこういう魚が入ってくる予定ですがいかがですか」という先々のセールスを行い、必要に応じて見積書を作成します。また、朝3時から6時の間に自分が売った商品の帳面のデータ入力作業もします。中水では、その商品の担当者が仕入れから経費等の計算までの一通りを担当するんです。朝7時頃には社内の食堂で朝食を取り、残業がなければ大体昼の12時くらいに終業して帰宅します。夜は食べないので、朝と昼はしっかり食べるようにしています。
中水では一人ひとりの作業量は多いですがその分、毎日市場のバランスをみながら仕入れをして売り捌くことを繰り返すため、商品についての知識や売り方を極めることができるのが魅力です。その道のプロになれます。
お客様が欲しがるものを提供する、鮮魚のプロフェッショナル集団
鮮魚部には20名ほどの社員が所属していて、社員一人ひとりに担当の魚が決められています。社員同士、「今日はどうだった」「あそこのお客さんは何を欲しがっていた」など、取引先の業者やお客様の情報交換をよくします。お客様相手の仕事なので、仕事をする上ではコミュニケーションの取り方に気をつけています。この人がどんなものを欲しがっているかを読み取れるように、コミュニケーションはなるべく密に取るようにしています。
入社して最初の1年は社内の各部署に少しずつ配置していただき、それぞれの部署でどんなことをしているのかを学びながら、先輩社員に仕事を教えてもらいました。鮮魚部に配属され、自分の担当を持つようになってからは、先輩に生鮮品の目利きなどを教えてもらいながら、現在、自分の担当である養殖魚と生ウニのプロを目指しています。
商品の価格を決めていくのは責任のある仕事ですが、漁師さんや先輩方に話を聞いたり、実際に自分の目で見て、味を確かめることで、経験を積んでいるところです。入社して3年目でようやく受験資格を得て「せり人登録証」を取得し、今年から市場内で商品を販売できるようになりました。
中水では社員一人ひとりの自己啓発にも力を入れています。毎月の課題に取り組む時間は自分の仕事に対する姿勢や、業績、態度などを見つめ直す時間になっていて、この取り組みは中水ならではの取り組みだと思います。
チャレンジする姿勢は忘れない。「鮮魚」も海外輸出に挑戦!
今後は、海外への輸出など、日本国内に留まらない販売に挑戦していきたいです。とはいえ、鮮魚部は生魚が商品で、鮮度が命なのでなかなか海外へ持って行くのが難しいのですが…海外に販売できたら仕事の幅も広がって面白いんじゃないかなと思っています。コロナ禍で後ろ向きな状況が続いていますが、常にチャレンジする姿勢を忘れずに、前を向いて今の自分に何ができるかを考えて日々の業務に励んでいます。昨日の自分より、今日を一歩進めるように努力していきたいです。
仕事をする上での大前提として、魚が好きな人と一緒に働きたいですね。この仕事は他の仕事と違って、朝が早いという特長があるので、好きでなければなかなか続かないと思います。逆に言えば、苦手を上回るような好きの気持ちや目標があれば、仕事は乗り越えられると思います!
好きなこと、興味があることを入り口に、自分に合う仕事を中水で探してみてください。