- 社長インタビュー
全ては「農家を応援する為に」
南部町にある新鮮な野菜や果物を加工する「なんぶの台所」と、奥入瀬渓流入り口にある「渓流の駅おいらせ」を運営する「なんぶ農援株式会社」 2019年より代表取締役社長を務める岩間正雄社長に、「農家を応援する」を社是に掲げるなんぶ農援が目指すビジョンについて語っていただきました。
農家と共に「捨てる」から「活かす」へ
1989年に土産物の卸業として創業したなんぶ農援は、現在2つの柱で経営しています。
一つ目は、奥入瀬渓流の入り口・焼山地区にある「渓流の駅おいらせ」の運営です。もともとは、隣接するホテルが運営していた「渓流の駅おいらせ」ですが、ホテルの経営母体が変わったことなどを理由に、業者として土産物を卸していたなんぶ農援が運営を引き継ぐことになり、現在に至っています。
「渓流の駅おいらせ」には土産店とレストランがあり、土産店では自社で製造販売している商品なども取り扱っています。
もう一つは、地元で収穫された野菜や果物の加工部門「なんぶの台所」です。業務用のカット野菜の製造や、南部町で収穫される果物を活用したドライフルーツや業務用ピューレの製造などを行っています。加工品の一部は土産品として商品化し販売しているものもあります。
取引のある業者はホテルやレストラン、ケーキ店など。カット野菜は、機械では対応できないようなサイズや厚みなど、細かい要望にも応える、オーダーメイドの加工をお受けしています。
青果の果物は、規格外のサイズやちょっとしたキズによって、生のままで売ることができない商品も実は多くあります。なんぶ農援では、通常では廃棄になってしまう果物に、加工することで新たな価値をつけ、農家さんの課題を解決する手助けをしています。現在取り扱いのある果物は、りんご、柿、洋梨、桃、あんずなど。果物の加工の依頼は、農家さんから直接いただくので、農家さんの悩みを解決していると実感できる部分でもあるんです。
代替わりを経ても変わらない、なんぶ農援の信念
2019年に前社長が会長に退き、わたしが代表取締役社長に就任しました。
今でこそ産直市場は当たり前にあるものとして認識されていますが、平成8年頃、全国的な産直ブームが到来するまでは、果物をお土産にする文化がありませんでした。
果物を使った商品を開発したくても、農家さんからの原材料の供給がなければ当然造ることはできません。一個人で加工を始めたばかりだったなんぶ農援を信じて、自分たちが育てた果物を預けてくださったのは農家の方々でした。南部町の果物を使って商品をつくることができたのは農家のおかげです。そのことから、なんぶ農援は「農家さんを応援したい」という軸を据えて、農家さんの課題を解決することを事業として取り組んでいます。このことは、代替わりしてもずっと変わらない社是でもあります。
自分が社長になってから心がけているのは、何事にも「スピード感を持って対応する」ということです。新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業のかたちや働き方の変化など、さまざまな面で対応が求められました。変化していく時代の流れに柔軟に対応していけるようにしたいと思っています。
社名の通り「農家の応援」を実感!
なんぶ農援の魅力は、加工を通して農家さんの課題を解決することができる業務内容にあります。農家さんの課題解決が地域貢献にもつながっていることも、やりがいを感じられる魅力の一つではないでしょうか。また、「渓流の駅おいらせ」には県外のお客様が多くいらっしゃいます。奥入瀬の大自然を感じながら、青森の魅力を直接お伝えすることができるのも、接客をしたい方にとっては魅力的な仕事のひとつです。アウトドアが好きな方、通勤30分ほどの山道ドライブが苦ではない方なら、「渓流の駅おいらせ」はぴったりです!
働く従業員が魅力ある人たちであるというのも自慢です。「渓流の駅おいらせ」は、年配の従業員も多く、コミュニケーションスキルに長けている方が多いですね。加工場と「渓流の駅おいらせ」は、どちらも女性が多い職場で子育て中の従業員もいますが、子どものイベントや体調不良など、気兼ねなく休めるような環境を整えていて、従業員同士でカバーし合えるような職場です。
子どもが、農業を職業の選択肢のひとつとして考えられるように
加工場での課題としては、取引先に要望されていることがあっても、さまざまな条件からお受けできていない現状があります。業者間とのマッチングや調整ができることで受注率も増加するはずなので、まだまだ改善が必要だと思っています。また、自社商品の販売店舗の開拓の面でも、商品が出て行く道を増やすためには営業が必要です。
また、「渓流の駅おいらせ」では、新型コロナウイルスの影響もあります。観光産業全体の問題でもありますが、なかなか時間を割いてこられなかった情報発信に力を入れて、「渓流の駅おいらせ」の認知度やファンを増やしていきたいと思っています。
今後の展望としては、先代から根底にある「農家さんに付加価値を与える」という部分をそのままに、子ども世代が農業を職業として選択できるような環境づくりをしていきたいと思っています。地物野菜や果物の加工、商品化、販売することで、農産物に付加価値をつけ、農家さんの売上につなげたいです。
冷凍食品で共働き家庭の食卓を応援
加工部門を強化するという面で、現在新規事業について検討していて、栄養管理ができる冷凍食品の開発を考えています。共働き家庭が増えたことによって、日々の食事の準備に困っている、という話題を雑誌などでよく見かけるので、毎日のご飯をつくる作業を手助けできないか、と考えたのがきっかけです。
冷凍食品を考えたのは、添加物をなるべく使わずに日持ちさせるため。大手企業ですでに冷凍食品は販売されていますが、「栄養管理ができる」という部分にニッチな市場があると考えています。
冷凍食品はこれまでなんぶ農援では取り扱いがなく、今は加工場でわたしが一人で試作している段階ですが、今後は加工場の女性従業員からも意見をいただいてかたちにしていきたいです。
「どうしたら解決できるか」を自分で考えて行動できる人求む!
代替わりを経て、社長の右腕ポジションだった自分が社長になったことで、自分の右腕になってくれる人材が必要だと感じています。
具体的な業務内容としては、新規事業の商品開発から、営業、販売、SNSを通じた宣伝活動まで、一連のさまざまな業務に関わっていただける方を募集しています。入社後は、仕事のやり方や現場についてマンツーマンで教えるのでご安心ください。
なんぶ農援では、どんな業務にも「自分で課題を解決する」ということを大切にしています。わからないことをそのままにせず、人に聞くなり、自分で考えるなり、解決するために行動できることが大切です。
言われたことだけをやるのではなく、次のステップとして課題を解決していってほしいというのが「農家を応援する」という部分につながります。また、お客さまから聞かれたことに対しても、解決してあげることを第一に取り組んでもらいたいと思っています。
「わたしたちが提供するものすべてが、お客様のためにあるもの」であるという意識を常に持ち、仕事に打ち込んでくれる方。また、仕事をしていく上で分からないことがあったとき、そのままにしておかずに人に聞くなり自分で考えて解決していける方。そんな方と一緒に今後のなんぶ農援を作っていきたいですね。