- 社員インタビュー
地方在住のまま、デザイナーになる ~フルリモートで見つけた新たな可能性~
株式会社リアルインベント 神さんのご紹介
「地方に住んでいるからデザインの仕事は難しいかも…」そう思って、最初から諦めてしまう人も多いと思います。たしかに地方におけるクリエイティブ人材の確保は課題がある一方で、コロナ以降のリモートワーク普及により、仕事の可能性が大きく広がったのも事実です。
当インタビューでは、青森県三沢市在住でありながら、株式会社リアルインベント(本社東京)でデザイナーとして活躍する神さんのキャリアストーリーに迫ります。放送業界からデザイン業界へのキャリアチェンジ、地方でのデザイナー就職の難しさ、そしてフルリモートという新しい働き方の可能性について、実体験をもとに語っていただきました。
“好き”を仕事にする選択-自分が本当に好きなことって何だっけ?
前職は放送業界で10年程度働いていました。放送電波関連の仕事で、裏方中の裏方という感じです。例えば東京のテレビ局から電波をもらい、それを何時に放送するかというようなことを手打ちで入力するような業務で、スタンバイ業務とも呼ばれています。 朝があまり得意ではないタイプなので、ゆっくり出社できることが一番の決め手でした(笑)。また、あまり前に出るような性格ではないこともあり、ある程度決まったことを黙々とこなす当時の仕事はやりがいもあり、自分に合っていたのだと思います。給与や労働環境についても特別不満はありませんでしたし、振り返ると10年続けられた背景にはそのような理由があるのかなと思います。
その後は、結婚を機に三沢市に移住することが決まり、前職を退職する流れになったのですが、当時はコロナ禍で、働き方が大きく変化している最中でした。「リモートワーク(在宅勤務)」という場所を選ばない柔軟な働き方が積極的に取り入れられ、同時に私自身「自分が本当に好きなことって何だっけ?」と考えるようになりました。 “焦って就職”というより、いまの自分と向き合い、自問自答の期間を楽しむことにしました。
私はもともと絵を描くことが好きだったので、自然と周囲にはデザイン関係の仕事をしている友人も多く、憧れもありました。ただ、フリーランスとして仕事をしていくことがどれほど大変な道かということは容易に想像できましたし、もしデザインを仕事にするにしても制作会社等に入社しないと難しいのかな…とぼんやり思っていました。どちらにせよ、基礎的なデザインスキルを身に着けることは必須と分かっていたので、青森市のWEBデザインスクールに半年間通うことを決めました。私の中では非常にチャレンジングな選択だったと思います。
リアルインベントとの出会い-地方在住で東京の仕事ができる?
スクールではWEBデザインやコーディングの基礎知識を学びました。もともとこの分野に興味はあったので学習自体に難しさは感じなかったのですが、まだこの程度のスキルではお金をいただけるレベルではないのでは?…という漠然とした焦りがありました。半年間の受講終了後にスクールから紹介された業務では、自力で調べて素材を集めたり、本を購入して独学で勉強したりなど、今思えばいい勉強になったと思います。その後も、紙媒体・イラスト・WEBデザイン等々…パート程度ですがフリーで少しずつお仕事をいただき、都度フリーのメンターさんからアドバイスをいただくということを繰り返していました。このような下積み生活が約1年ほどあり、大変でしたが今思うと必要な時間だったと思います。
リアルインベントとの出会いは唐突で、スクール主催の企業説明会でした。フルリモートの会社が来るということを関係者から聞いて、「フルリモートだったらもしかしたら…」という想いで参加しました。説明会では社長の村岡が会社のことを色々お話してくださったのですが、リアルインベントの第一印象はIT企業でどちらかというとSE(システムエンジニア)の印象が強く、正直私が望んでいたデザイン業務とはご縁がなさそうと思っていたんです。しかし後日、社長の方から説明を聞いてくれた人の中で気になる人がいるから話を聞きたいとスクールを通して私に連絡がありました。まず、お声をかけて下さったこと自体非常に嬉しかったですし、フルリモートという勤務条件についても、願ってもないお話だったので、その後改めて入社の意向を伝えました。
クライアントの数だけ答えがある仕事
入社して最初の業務は、リアルインベントのコーポレートサイトリニューアルでした。当時の社内にはデザイナーが私だけでしたので、悩んだときはパートナー企業のデザイナーさんに相談したり、とにかく必死でした。試行錯誤してやっとできたデザインカンプを社長に見せたときに、「悪くないけど、ありきたりな感じになりそうじゃない?一回、神さんが思うデザインを自由に作ってみてよ」と言われ、私の感覚全開のデザインを描き直したところ、「めっちゃかっこいいじゃん!」と絶賛いただきました。そうして出来上がったのが今のリアルインベントのコーポレートサイトです。
【株式会社リアルインベント コーポレートサイト】
https://realinvent.co.jp/
デザインをするうえで、クライアント様や競合、関連ジャンルのサイト等とにかく情報集めを大切にしているのですが、有難いことに、うちの社長のように「私の感覚」を直球で求めていただける場合もあります。逆もしかりで、私の感覚で「こっちかな?」と解釈したデザインがクライアント様によっては、「いや、そこはこっちで」と訂正されることも。このように、デザインの仕事において“正解”はありません。だからこそ、新たなアイディアを望んでいるのか、文化継承に重きを置いているのかなど、相手の言葉の裏にある “本当の目的” を聞き出すことが重要です。特に私の場合はオンライン上で打ち合わせを行うことが多いため、先方が打ち合わせに充てられる時間も限られています。その中で、的確に必要な情報を引き出す「ヒアリング」については入社したての頃と比べると数段能力が身についたと実感しています。
チームの和がモチベーションに-地方在住でも輝ける働き方とは
現在は私を含めて4名のデザイナーが在籍していて、いずれも全員フルリモートです。それぞれ異なる案件を担当しているので、グループチャットでは情報共有も兼ねて頻繁に連絡を取り合うようにしています。メンバーは人当たりが良い方が多く、逆に私が助けられることも多いのですが、チームのサブマネージャーとして心掛けていることが一つだけあります。それは、メンバーが頑張ったポイントをしっかり聞き、心から“称賛する”ということです。ただ「お疲れ様でした」という形式的なものではなく、作ったものを見て「これどうやってやったの?」「こんなに丁寧に作ってくれるの嬉しい!」のように、特に頑張ったポイントを具体的に褒めるということを意識しています。私自身これまでの人生で、「全力で頑張る」ということに対して「なんか頑張りすぎじゃない…?」のような周囲からの冷ややかな目線を気にしていた時期があったのですが、リアルインベントに入社した際のマネージャーが「神さん、コーポレートサイト見たよ!すごいですね!」とたくさん褒めてくれたんです。そのとき、誰かに褒められるのがこんなに嬉しいなんて、自分でも驚きでした。フルリモートで物理的距離が離れているからこそいつでも相談できる雰囲気づくりをとても大切にしています。
また、お互い得意分野が違うこともあり、自然と尊重し合い、気づきや発見を共有できている点がすごくいい関係性だと感じています。例えば、石塚さんはエンジニア領域が強いです。一度石塚さんと一緒にLP(ランディングページ)を作った時に、エンジニアが実装しやすいデザインについて教えてもらいました。私が知らない領域のことを知っているメンバーがいること、そしてそれをチームの「和」として結合できている点に強い絆を感じつつ、非常にモチベーションになっています。
「地方にいながら、東京の仕事ができる」という環境は、地方目線だと稀だと感じています。コロナ禍でリモートワークが普及し、瞬間的に地方でもリモート人口が増えましたが、「やっぱりリアル、対面が一番だよね」という社会情勢に飲まれるような形で選択肢が少なくなってしまったように感じます。リモートをすべて肯定するつもりはないのですが、地方にはまだまだデザイナーの受け皿(求人)が少ないということも事実です。このような地方ならではの働き方の課題に対し、ITの力で可能性を広げる、その手段のひとつが「フルリモート」なのかなと捉えています。「本当はデザインやエンジニアの仕事がしたいけど、どうせ地方に求人はないし…」という方の選択肢として、もっともっと多様な働き方があっても良いのかなと思いますね。少なくとも、私はこのフルリモートという働き方の自分が、人生史上一番楽しくて、充実しています。
