- 座談会形式インタビュー
効率よりも一人ひとりに向き合う医療を
このインタビューの背景
田中医院で働く看護師の方々に、「長年続けている理由」「田中医院の変わっているところ」「嬉しかった出来事、言われて嬉しかったこと」など、仕事のやりがいだけではなく独自性についてもお話を伺ってきました。
子どもに自信をもって誇れる仕事
まず初めに、皆さんがここで仕事を続けている一番の理由を教えてください。
Sさん) わたしは、ここでの仕事を嫌だと思ったことがなく、仕事自体が楽しいからです。 それは、看護師、患者さん、先生、それぞれが話しやすく、一言でいうと「雰囲気が良い」からだと思います。 病院によっては、「こんなことを聞いたら怒られそう」と気を遣うところもあるじゃないですか。田中医院にはそれがなくて、みんなが家族のように話しやすい雰囲気なのです。
Aさん) わたしも仕事自体が楽しいです。子どもに「ママ、ここの看護師の仕事が好きだよ」って言えるのです。 まだ小学生なのですが、最近、子どもが「わたしも看護師になりたい」って言ってくれて。 七夕の願い事にも「看護師になりたい」って書いていたのです。 たぶん、ここでいきいきと働けていることが伝わっているのだと思います。
(涙ぐむ) それはうれしいですね。子どもにとって最高の教育ですし、人づくりにもつながっていると思います。
Aさん) あとは、有給休暇を取りやすいです。看護師同士の間に「お互いさま」という意識があり、誰かが休んだときは助け合って乗り越える雰囲気があります。先生や患者さんとだけでなく、看護師同士でも話しやすく、相談しやすいです。
Kさん) わたしは、患者さん一人ひとりにしっかり向き合えるところが良いなと思います。以前いた病院には、とにかく早く仕事を回して、患者さんに早く帰ってもらおう、というような空気感がありました。ひたすら自分の仕事を回し、せかせかしている感じです。 田中医院では、総合的に患者さんをサポートするため、レントゲンやCT検査、内視鏡検査など、さまざまな検査を担当します。私達を信頼して仕事を任せてもらえている実感があります。 同じ仕事を作業的にこなすのではなく、主体的に働くことができ、患者さんから毎日のように感謝の言葉をいただきます。 もう一つ、看護師が忙しそうにしていると、「本当はこうしてもらいたいけれど、我慢しよう」と思ってしまう患者さんもいると思うのです。 田中医院は、先生ご自身の「患者さんの話を聞こう」という姿勢が強いです。そのため、患者さんも「あ、そういえば、これも相談したかったんだ」と話しやすく、きちんと話を聞いてもらえることで満足感も高まるのだと思います。 そして、スタッフや看護師も先生の姿を見て、「自分たちも患者さんの話をきちんと聞こう」という意識になっているのではないかと思います。 もし先生が「早く、どんどんさばいて回していこう」という雰囲気だったら、私たちも「早くやらなきゃ。先生に怒られる」と焦ってしまうと思います。早く回すことよりも、患者さん一人ひとりとしっかり向き合える。それが、ここで働き続けている理由ですね。
待合室が同窓会場に?
私が初めて田中医院のお話を聞いたとき、ふと浮かんだのが「まちのコミュニティカフェのような医院」という言葉でした。 実際にお話を伺うと、待合室がコミュニティスペースのように使われていると聞きましたが、本当ですか?
Sさん) そうなっていますね。カフェのようなときもありますし、同窓会のようになっていることもあります。 待合室では、大きな声では話せない、いわゆるゴシップネタや、「ここに来ると元気になれるよね」といった、さまざまな会話が同時多発的に起こっています。
Aさん) 「ここに来ると元気になる」「安心する」という言葉は、毎日のように言われます。たぶん、いつ来ても同じ人がいて、変わらない態度で話を聞いてくれるからだと思います。
院長は、患者さんに言われてうれしかった言葉はありますか?
鈴木院長) 「ありがとうございます」以外では、「どこにも行かないでくださいよ」とよく言われますね。「よくこのまちに来てくれた」という言葉とセットで、毎日のように患者さんから言われます。最近は「倒れないでね」と心配されることもあります。 あまりに日常的なので、感覚としては当たり前になっているくらいですが、そうした感謝や思いやりの言葉をかけていただけるのはうれしいですね。
Kさん) 先生が話を聞く中で、「重症なのではないか」「緊急性が高いのではないか」と気づき、高度医療機関に搬送して命が助かったケースもあります。本当に感謝されていると思います。 「早く大人数を回そう」という方針ではできなかったことが、ここではできています。私たち看護師も、普段から患者さんの話を聞き、顔も覚えているからこそ、「今日は少し様子がおかしいな」と気づけるのです。
インタビュアー) 話を丁寧に聞いたことで、命を救ったり、重篤化を防いだりできたケースは、1件や2件ではないのですか?
看護師一同)たくさんありますよ。
Sさん) 「私、ここまで悪かったのですか?」と、ご本人さえ気づいていなかった症状に気づくケースもありますし、脳や心臓の疾患で命を救えた方も多くいます。
インタビュアー) 「話しやすい雰囲気づくり」が、まちのコミュニティスペースとしての医院につながり、看護師やスタッフの有給休暇の取りやすさや仕事の楽しさにもつながっている。そして、子どもが憧れる親の仕事にもなり、さらには人の命を救うという尊い仕事にもつながっているのですね。 青森や日本にあるすべての会社が、「話しやすい会社」を目指しても良いのではないでしょうか。良いことばかりですね。 もちろん、それは、任せられた仕事に対して自分で考えて動ける皆さんの存在や、プロ意識があってこそだと思います。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
