- 経営層・管理者インタビュー
最前線で戦う 現場の“指揮官”
誰かの「助けて」に、迷わず駆け寄る人がいる。 点検・修理・緊急出動——“守る”という仕事に、終わりはない。 戸惑いながらも、少しずつ一人で対応できるようになる若手たち。 その背後には、必ず誰かが見守っている。 保安の最前線で指揮を執る河村さんに、現場のリアル、チームの在り方、そして“育てる想い”を聞いてみました。
- 河村さんの入社からの歩み
- ・2012年 八戸ガソリンスタンド アルバイトとして勤務開始
- ・2014年 危険物取扱者 乙種第4類等の資格取得後 正社員登用
- ・2020年 階上営業所 営業として配属
- ・2022年 おいらせ三沢営業所 所長に就任
- ・2025年 本社 保安課 課長に就任
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——「あの日」から始まった、地元への想い
前職では関東圏で車関連の営業職に就いていました。けれど、2011年の東日本大震災を経験して、家族や地元の存在の大きさを改めて感じたのです。「そろそろ青森に戻ろう」と決意して、Uターンしました。
もともと学生時代から社名をよく目にしていた「八戸液化ガス」で、まずはガソリンスタンドのアルバイトとして働き始めました。正直に言えば、最初は“とりあえずの仕事”という感覚もありました。でも、働くうちに「資格を取れば正社員として道が開ける」ということを知って目標が明確になりました。
2014年に危険物取扱者の資格などを取得し、念願の正社員として採用。階上営業所に営業職として配属されたのが、キャリアの本格的なスタートでした。
——営業から保安へ。フィールドは広がっても変わらない想い
営業時代は、担当エリアのお客様宅を定期的に訪問し、ガス機器や設備の点検・提案を行う日々でした。お客様との距離も近く「あの人が来てくれてよかった」と声をかけてもらえるのが嬉しかったですね。
2022年においらせ三沢営業所の所長になり、さらに2025年からは本社の保安課長に就任。現在は会社全体の保安体制の統括を担っています。現場から少し離れた印象を持たれるかもしれませんが、実際はとても地に足のついた仕事です。
たとえば、法令に基づいた安全基準の制定や行政対応、巡視記録の確認などが主な業務です。自社が関わる全エリアの保安状況を“見える化”することで、何か異常が起きた時に即対応できる体制を整えています。
以前、団地で他業者さんが誤ってガス管に穴を空けてしまい、大量のガスが噴き出した事故がありました。正直「これはマズい」と背筋が冷たくなる感覚でした。ですが、すぐに現場へ出動し指揮を取り、仲間と連携して無事に封じ込めることができました。
安全管理は「何も起きないのが当たり前」だからこそ、私たちの仕事は表に見えづらい。でも、その「当たり前」を守り抜くことこそ、私たちの使命なのだと思っています。
——部下が育つ喜び。「一緒にやろう」の姿勢で
今のはちえきには、若手社員も多くいますので特に宿直業務や緊急出動は、慣れるまでに時間がかかる仕事だと思います。
あるとき、初めて宿直に入った部下から夜に電話がかかってきました。「一人でいるのが不安です」と。聞けば、それまで一人暮らしの経験もなかったそうで、緊張もピークだったのでしょうね。1時間ほど他愛もない会話をして、ようやく落ち着いたようでした。
その子が次に宿直に入ったときに緊急対応の案件が発生して、すぐ私に電話が。
初めての緊急対応に不安を感じたのだと思います。私もすぐ現場に駆けつけて、一緒に作業を行いました。普段の昼間の対応と手順は同じ。でも“夜”という時間帯や“緊急”というプレッシャーが、経験の浅い彼には大きかったのでしょうね。
それでも後日「あの物件、自分が宿直で直したんですよ!」と誇らしそうに話してくれたのです。そうやって少しずつ自信をつけていく姿を見るのが、何より嬉しく思います。
私は、部下には「全部任せる」より「一緒にやろう」という姿勢を大切にしています。いきなり突き放すのではなく、一緒に現場に入りながら少しずつ背中を押していく。その積み重ねが、使命感を持った“プロ”を育てる道だと思っています。
——“凡ミス”だって、成長の糧になる
実は私自身、今でもたまにうっかりミスをしてしまいます(笑)。
たとえば、あるお宅にガス漏れが疑われる機器の交換で訪問したときのこと。お客様と話し込んでしまい、外した古い機器を…間違ってまた取り付けてしまったことがあったのです。
帰社してすぐに連絡して、新しい機器の交換へ再度伺いました。お客様は笑って許してくれましたが、こんな経験があるからこそ、部下にはこう言っています。「ミスを恐れるより、どうすれば同じことを繰り返さないかを考えよう」と。
安全を守るという仕事において、完璧を目指すのは当然。でも人間だからこそ、うっかりが起きるのもまた事実です。だからこそ、ミスを責めるより、その後の対応と学びが大事なのですよね。そういう風土を作ることも、私の役割だと思っています。
——“社内完結型”の強いチームを目指して
今後は、より多くの現場を自分たちの力で完結できる「強いチームづくり」を進めていきたいと考えています。
ガスというインフラを扱う以上、どんな現場でも迅速かつ的確に対応できる組織体制が必要です。そのためには、部門の垣根を越えて知識や経験を共有し、全員が同じ方向を向ける環境づくりが欠かせません。
お客様を守る仕事は、一人ではできない。
仕事は「やってみなきゃわからない」ことだらけ。
でも、お互いを思いやれる仲間がいて、ちゃんと成長を見守ってくれる環境がある。
それが、この会社のいちばんの魅力かもしれません。
